企友会(バンクーバー日系ビジネス協会)によるインタビュー

カナダにおいてビジネスをされている方々へのインタビューを
掲載しています。

2018年08月22日

中島有二郎(なかじま ゆうじろう)


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ジャズを中心としたプロギタリストとして成功していた日本を離れ35歳でバンクーバーに移住。ソロギターフェスティバルでブラジルギタリスト代表に2年連続で選ばれ、Jazz Festival などの音楽イベントにも出演、多様な音楽ジャンルのバンドでのライブ演奏に加え、毎年の日本ツアーも行う。これだけの経歴が並ぶと必然的に緊張してしまうのだが、当日待ち合わせ場所となる天井の高い陽が良く差し込む明るいカフェに現れたのは、温かく気取らぬ雰囲気の中島さんでした。

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原点にあるのは、枠のない音楽。

下村: さっそくですが、中島さんがギターを始めたきっかけは何ですか?
中島: 親がベートーベンの像も家にあるくらいのクラシックの愛好家で。でも僕はそれがいやだったんだけど(笑)。クラシックが家で流れてたから、当時の僕には友達が家に来たらベートンベンが流れてるってのが恥ずかしくって。だけど、もれて聞こえるクラシックが音楽に関わるきっかけかな。妹と兄貴はピアノをやっててクラシック系の音楽の方へ行ったんだけど、僕はどうしてもそれが嫌でピアノからも逃げてて、中学ではサッカーをしてたんですよ。中1の時に友達のお父さんに連れられて映画館でビートルズのフィルムコンサートを見て、本当に衝撃を受けて、次の日にレコードを買ってビートルズにはまって。そっから始まったって感じ、僕の音楽は。おこずかいは全部レコードを買うのに使って、ビートルズのレコードを全部集めてずっと聞いてた。高1の時にロックギターでバントをはじめたんだよね。こんな感じでロックから音楽に入ったね。

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僕にとってはビートルズが原点。あのバンドはロックだけじゃないミックスされたハイブリットされた音楽。音楽そのもだけじゃなくて考え方とかも、枠がない音楽が好きになったのもビートルズがきっかけかも。

下村: バンクーバーに来る前は何をされていたのですか?
中島: 日本で音楽活動やってたよ。音楽を教えたり演奏したり、ジャズとかブラジル音楽をしてた。

3.JPG下村: たくさんの音楽ジャンルがある中でどうしてブラジリアンミュージックを選んだのですか?
中島: ジャンルは色々やるんだけど、はじめは ROCKギターとかソウルミュージックをやってて、で、ジャズはね弾けないのが悔しくってそれではじめちゃって、そしたらたまたま仕事でジャズがついて毎日演奏するようになったんだけど、自分の中で何かいまいち合わないって感じちゃって。今思うとそれは違うってわかるんだけど、あの時はまだジャズの良さがわからなかったんだよね。その頃入ってたバンドで、ジャズミュージシャンにとっての息抜きのようなブラジリアンミュージックのボサノバというジャンルがあって、それはこう軽くやるんだよね、そのとき初めてブラジリアンミュージックを知った。ジャズは面白くないって感じてたけど、たまたまはじめたブラジリアンミュージックにそれからどっぷりはまっていた。それがちょうど20代半ばのころかな。
下村: それからブラジリアンミュージックの面白さに魅かれたのですね。
中島: 独特のリズムで乗りがいいところが好きで。だけど今はブラジル音楽は色んな音楽の中の1つという存在かな。これまでいろんな違う音楽をやってきた影響で周りを見る目が広がった気がする。ジャズやブラジリアンミュージックからコロンビアとかアルゼンチンとか南米の違う国の曲もたくさん演奏するようになって目が広がったかな。日本に住んでる日本人のブラジル音楽の人たちの方がマニアックに研究してやってると思う。

下村: 日本とカナダで音楽活動を行われている中島さんですが、仕事をする上で日本とカナダの違いって何か違いはありますか?
中島: あるある、カナダでは打ち上げがなくて演奏が終わるとすぐ帰るのが寂しいね(笑)。カナダでは演奏がメインなので、大きいイベントで演奏しても打ち上げがないんだなあ。打ち上げをやると終わった感じがするし、それで ”打ち上がる” んだけどなあ。4.JPG
こっちで日本人4人で組んだBanana Bread って言うバントでは、ミーティングでお茶飲んだりお菓子持ってきたり、音楽以外でもコミュニケーションをとってて、そういうところが日本人特有というか。それに比べたらカナダ人は仕事面では、あっさり目でリハーサルやって、本番やって帰る感じかな。だけど、音楽家としてはカナダ人も日本人も同じかな。
あとは、僕は南米人と一緒に演奏することが多いんだけど、時間の感覚があまりにも違って、それはびっくりした。カナダ人 は遅れても30分くらいだけど、ブラジル人は何時間単位で遅れてくる。
下村: あのボサノバのゆるい音楽の雰囲気と似てますね。
中島: たしかにそうかもね。そういう時間のルーズさがブラジリアンミュージックにももしかしたら関係してるのかも。演奏はやっぱりとてもうまい。日本人は練習した巧さがあるんだけど、ブラジル人は生まれ持った感覚の良さがある感じがするなあ。どんなに練習してもあの人たちのようには演奏できない。あと遊ぶ仲間としては最高だね、面白くて明るい人が多いから



覚悟をもって続けることでチャンスが巡り、人との出会いと直感でそれをつかむ。

下村: 中島さんが音楽をずっと続けていく上での軸になっているものは何ですか?
中島: んー。あまり考えたことないけど、やっぱり好きだからかな!お金にならない時期とかもあったから当然他の仕事もしたけど、辞めようとか他のことをやるという発想がなかったな。死ぬほど好きだったらそうなると思う。だから好きなものを仕事にする方がいいと思う。だけど、もし僕に子供がいたら絶対に音楽家は進めないかな(笑)。
音楽やってる人はステージのところしか見られないから派手な生活に見られがちだけど、ものすごく孤独だよ。1人で練習したり、起きてる時間はずっと音楽やってて音楽のこと考えてて本当は地味な生活。練習量が半端ない。あっ!でも結局はそれも楽しい、やっぱり。
でも、興味本位だとしたら仕事にならないからおすすめしないね。よくある質問で「僕はプロになれますでしょうか」というのが来るけど、そういう質問する人は絶対なれない。なっちゃう人はそういう質問すらしなくてもなっちゃうし、ならない選択肢がないみたいな、どうやら僕の周りを見ていると。僕もなる、なるしかないと思ったし、覚悟は決めていくしかない。

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下村: なかなかその「覚悟」を持ったり決めることができない人がたくさんいる中で、どうしたらそういう風に思えるのですか?
中島: やっぱすごい好きだから。あんまりあれこれ深く考えない単純の人がいいかも。他の仕事はもしかしたら上手くいく成功するためのマニュアルとか方法が何かあるのかもしれないけど、音楽家は特殊なジャンルだから自分の周りにはそういう人しかいないですね。だけどたしかに超好きでもなれない人もいるからラッキーなのも大事かも、良い人と巡り会うとか。一生懸命やっていると会うチャンスがあるけど、ずっとやり続けていないとそのチャンスすらやってこないじゃん。死ぬほどやってるとチャンスが生まれて出会いが回ってくる。

下村: 中島さんにもその出会いがあったんですか?
中島: 1番はじめは大森久雄さんっていう指揮者。その頃昼間に仕事をしようと思って、ギターを作る仕事に就いた時があったんです、建築学科をでて図面がひけたので。その仕事をはじめた途端に大森さんから付き人の話が来て。お金はもらえないんだけど業界に入って学ぶために、すぐにその仕事をやめて大森さんの付き人になったんだよ。それ以前は周りのアマチュアレベルの中では一番ギターが上手くて周りに僕より上手い人があまりいなくて、絶対プロになれると疑わずに行ったんだけど、なんかなれないんだよ(笑)初めて大森さんについて実際にプロの人たちが集まる現場を見た時、あまりに皆が上手で、これはまずいと思った(笑)。それからとにかく必死に練習したんだよ。だから、大森さんがいなかったらこうなってないかもだから、大森さんは僕のキーパーソンだね。
あと、もう一人の恩人がハリー青木さん。結婚してからバンクーバーに来たから、仕事も人脈もなくって、だからダウンタウンの美術館の前で路上演奏してたんだよ。そしたら、日系人で有名なジャズベーシストのハリー青木さんが見つけてくれて、彼が僕をいろんな人に紹介してくれたんだよ。

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偶然かもしれないけど、でも1番最初に出会った大森さんも、僕が周りの人たちにプロになりたいって言ってたか、周りがそう思ってくれてたかって状況じゃなかったら絶対声かかってなかったし、 ハリー青木さんも僕がもし路上演奏してなかったら出会っていなかったから、自分が動いてたのと偶然のチャンスだったんだよね。

下村: やっぱりその行動力がすごいですよね。とたえば路上演奏するのに躊躇や怖さはなかったですか?
中島: 怖さはないかな。東京でもやってたけど、聴いて欲しい時は渋谷に行くんだよ。だけど 若者ばかりだからお金が入らない、だからお金に困ると銀座に行く。でも銀座は怖くて縄張りがあるからすぐに出れるように車にエンジンをかけっぱなしにしておくんだ。おっかけられたこともあるよ。銀座はお金がよく入る。気持ちよく酔っ払ったおじさんだから入れてくれる。日本でこういう経験をしてたから、バンクーバーでは平気だったかも。こっちはスカイトレインの駅前なんかはオーディションがあって、路上演奏で生活したい人とかがやっていて、色んな人がいるよ。僕は情報が欲しくて路上演奏してたから。美術館の前で2年ぐらいやって、グランビルアイランドで長いことやってた。

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下村: 現在はどんな活動をされているのですか?
中島: 今は5、6バンドで演奏していて、あとは音楽を教えてるよ。アイリッシュバンドを10年以上やってるんだけど、それは路上演奏でハリー青木さんが紹介してくれたルーマニア人の有名なジャズバイオリニストつながりでアイリッシュミュージックをはじめて、そこから繋がってやってることが結構多い。カナダはイギリスとの関わりがあるから、公式な行事とかでの演奏も結構多くて。カナダ人と混ざってイギリスの伝統的な音楽をやっている。ロックとかジャズとかファンクミュージックをミックスしたバンドがあって、すごい楽しい。
下村: アイリッシュミュージックもされているんですね!
中島: ハリー青木さんの紹介で出会ったジャズバイオリニストのお弟子さんと知り合ってお互い気が合って何かやってみようってなって。アイリッシュの人だとアイリッシュの音楽を普通に弾い てしまう。でもその人は、そこにロックとか色んな要素をミックスして作りたいって人だったので、逆にアイリッシュミュージックをあまり知らない人の方が良いということで僕が呼ばれたんだろうね。真面目な音楽でなくてみんなが騒いで踊れるような音楽をずっとやってる。

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「日本人の混ぜる発想」と「枠のない音楽」が生み出す、自由な音楽。

下村: 他にも違うバンドで音楽やられているんですか?
中島: グランビルアイランドでたまたま知り合ったブラジル人のボーカリストにバンドに入らないかと声をかけられそこでたまたまブラジル音楽に入った。その時は一生懸命ブラジリアンミュージックをやってた。今は他の音楽を色々やってるんだけど、その1つに沖縄の古典音楽ってのをやってる。みんな沖縄の民謡って言ったら知ってるんだけど、数年前に沖縄の古典音楽をやってる人と知り合ってそれまで聴いたことなかったんだけど、それがあんまりにも良くて。今秋に沖縄に行ってCDを作る準備をしてるとこなんだ。他にはイラク人とプロジェクトを始めてイラクの音楽を面白い形にしたりとか。あと全然違うんだけど絵を書いている人とコラボしようとなって今考え中なんだ。

下村: 中島さんが津軽三味線とのコラボをされているのを聴いたことがありますが、中島さんは何かを1本だけというよりは、何かと何かをミックスされるのが好きなんですね。
中島: そう!あれも面白くて、初めはちょっと勇気がいったんだけど、津軽三味線とギターとパーカッションでバンドをやって。もとからそういうのが好きなんだけどけどカナダの影響もすごく強くて。ここ移民の町でしょ。例えばブラジル音楽をどんなにうまく演奏しても、ブラジルの祭りとかがあるときは絶対 僕は呼ばれない。なんでかって言うとブラジル人じゃないから。ブラジルのイベントでは、ブラジル人が音楽を弾いているのが見たい。こっちの人は基本的に生まれ故郷の音楽をみんなやっててブラジル人はブラジルの音楽をやるし、ブラジル人は三味線をやらない。ブラジル人はアイリッシュをあんまりやらない。アイリッシュの人はアイリッシュをやる。逆にブラジルの音楽はあまりやらない。基本的にみんな出身の音楽をやるんだけど、僕は日本の音楽を全然やっていないなと思って。それもあっていろんなものにチャレンジしてみたら、それがはまって。

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下村: いい意味で異端児ですよね、自由でユニークで。自分は自分というものを持って、他の人を巻き込んでいく。ブラジル人だからブラジル音楽アイリッシュだからアイリッシュ音楽ではなく枠を抜けていく感じで。
中島: そうだね。ギターという楽器を使って色んな所に行くのが良いし、しかも個性的じゃん。こっちはみんな個性的だから。僕はブラジル人じゃないから楽しくっていうのはあってもその文化を紹介しようとかって言うのは全くない。やっぱり僕は日本人だなあって思って。日本人ってミックスするのがすごく上手。料理にしても日本人はゼロから何かを作るより、何かを集めてきて新しいものをヒョイって生み出すのが上手。僕の音楽も多分無意識にそういうところに行ってると思うんだよな。

下村: そういう形でミュージックをされている人はなかなかいないですよね?
中島: 日本ではすっごい少ないね。日本ではブラジル人があんまりいないから、ブラジリアンミュージックをやりたい人はそれをやっていたらいいんだよ。なんで日本人の自分がブラジル音楽をやるのかっていうのを考えなくていいの。みんなおーっていうし。こっちにいると僕がブラジル音楽をやると何で僕がやるの?って言われる。日本にいたらそんなこと言われることはないじゃん絶対。だからみんなマニアックに弾くことも多いし、いい意味でね

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下村: なるほど、たしかにそうですね。でもバンクーバーで活躍されている中島さんの音楽に、日本人の混ぜる能力が活かされているとは思ってもいませんでした。何か嬉しいですね。
中島: 沖縄音楽も日本にいた時は気にならなかったんだけど、気に入ったんだよね。この沖縄の古典音楽でコラボする美音(みおん)さんは去年の日本の三線コンテストのグランプリなんだよ。三線奏者は歌も必ず歌うので、三線と歌とギターでやるんだけど、今まで古典音楽をコラボさせた参考例がないから大変なんだよ作業が。未だにどうしていいか分かんないもん。
あ!あとね最近作ったバナナブレッドていうバンドは今一押し。このバンドは、60年代70年代の曲でメイン楽器はウクレレのコーラスグループ。僕はアレンジ中心の方。今日も朝からずっと曲アレンジしたり編曲してた。いつもは僕も全面に弾くって感じだから、このバンドではプロデューサーって感じ。面白い人たちを見つけてこういうコンセプトなんですけどどうですか?と話をもっていって人を集めて、1カ月くらい前から始まったところ。

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常識とか国境とかを越えた自由で柔軟な感覚を信じて、自分が好きなことに、ただひたすらに正直で。

下村: だんだん中島さんが言う「好きだから」がわかってきた気がします(笑)。本当に楽しいが伝わってきます。音楽を混ぜるアイデアも、こうやったら楽しいかもって浮かんでくるんですか?
中島: そうだね。なんだろうね。あと1つのことをずっとやっていると飽きちゃうっていうのもあるのかも。 周りの人もそれを分かってくれているからコラボの声をかけてくれたり。こっちでやった人たちと日本に行って演奏したりとか。あと日本だったらブラジル音楽が好きな日本人と演奏、アルゼンチン音楽が弾ける日本人と演奏ってなるけど、カナダだからこそブラジルの人、イラクの人、アフリカの人、その国の人たちと演奏できる。やっぱりはじめからビートルズとか色んなものが混ざっているのが好きだから、スティングもすごく好きで、そういう人たちからものすごい色んな影響を受けている

下村: これからのビジョンなどがあったりするのでしょうか?
中島: ビジョンとかは考える間がなくて、目の前のことだけ。その時その時面白いと思うことを考える。今は朝から考えてるバナナブレッドのアレンジとかって風に。
でもたまに面白くないなと思う部分もあるじゃん。そういう時は 迷惑をかけないようにさーっと去るかな(笑)。

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中島: ギターも見せちゃおっかな。これ普通のギターじゃないんだよ。オーダーメイドで弦が7本のギターを作ってもらったんだ。これで弾くとベースの人がいる感じ。ギターとベースと2人分一緒に弾いちゃうみたいな感じになる。

下村: どうして弦が7本あるギターを作ってもらったんですか?
中島: このギターは普通はブラジル音楽で使うんだけど、違う音楽にミックスしても面白いなと思って。美音さんとのコラボの時もこれ使う。
下村: ギターを持つと表情が変わるし、すごい一体感がありますね。
中島: ギターが1番しっくりくる、持つと本当落ち着く。

下村: 色んな楽器の中からギターを選んだのはどうしてですか?
中島: ビートルズの影響もあるけど、おじいちゃんがギターを弾いていたからというのもあるかな。ギターは教えるのもすごい好きで、今おばあちゃん2人組にウクレレを教えてて、もう3年くらいになるんだけど。来月発表会があって二人で楽しそうに計画しているのとかを見ると本当に微笑ましくって、そういうのにたずさわれるのがすごくうれしい。

下村: これまでの人生で最高の思い出は何ですか?
中島: 音楽面だとなんだろう、全部楽しいからなあ。たとえば東京で会場が満員になって、パーカッションの人と三味線の人と一緒にやって。そのライブが盛り上がるのがすごく楽しい。あと音楽以外では、旅行で秘境に行くのが好きで、インドネシアに本当に綺麗な島があって 、ここから三日ぐらいかけて行って、着いた時はすごい感動したね。 ただ一週間に一回しか船が来ないから一週間ずっとそこで過ごさないといけなかった。でもいろんな国の人と共同生活して楽しかったよ。

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下村: 最後に、中島さんが一番大切にしていることは何ですか?
中島: 自分らしくいることかな。売れるとか人に喜ばれそうとかは考えずに、自分が良いと思ったものを正直にね。正直にいることが大切。自分の感覚を信じて、そこは譲らない。そこは1番大事にしてるかな。


下村: 今日は本当にありがとうございました。



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ギターを手にしたとたん、優しく弾くように話しだす中島さん。そんな余韻を楽しみながら思うのは、多様な人種と文化の街だからこそ「日本人だからできる」こと「日本人だけどできる」ことの両方を楽しまずにどうするの? と問いかけられているようで、その言葉に枠がはずれていくような感覚が心に残るインタビューでした。




■■ライブ情報■■
"Nakajima Duo + Banana Bread"
9月30日  日曜日   8pm - 11pm
Cafe Deux Soleils   2096 Commercial Dr.
Music Charge  $10


Nakajima Duo


Banana Bread







インタビュアーからの一言。

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インタビューをして中島さんはバンクーバーという地で好奇心を持って、いろいろなことに挑戦されていることを知ることができました!そんな中島さんはとても輝いていて、わたしも好奇心をわすれずにいろんなことに挑戦し、生き生きと輝いている人になりたいなとおもいました! 

PROFILE 下村美香







posted by k-interview at 07:12| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月02日

ビル 別所(Bill Bessho) 特別企画ロングインタビュー後編


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ロングインタビュー後編は、ビル別所さんの生き方とその軸に持ち続ける願いとは。



一大事と申すは、今日只今の心なり。  

正受老人の「一日暮らし」の教えで、憂うのは昨日でも明日でもなく、人生の中でもっとも大切なのは、今生かされている今日ただいまの自分の心。一日をよく暮らすことは、一生をよく暮らすことになる。




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たまたま今あるその仕事を
天職として一所懸命やるならば
必ずそこに道が開ける。

豪 : バンクーバーは留学生・ワーホリの人が多いです。僕もワーホリで来たのですが、カナダに温泉旅館を作りたいと思い今それに向かっているんですけど、僕の友達が「豪は、楽だよね」と言うんです。「豪は、やりたいことがある。でも、僕はやりたいことがない、何かしているわけでもない。でも今の現状に満足していない」と葛藤していて。ここで出会ったワーホリの人に「なんとなく居る」という人もいました。そういう若い人たちにとって、別所さんのように目標を持たれて前進し続けている方というのは輝いて見えると思うんです。そういう若い人たちにどんなアドバイスをされますか?

別所: 人は、比較できないと思うんですよ。人生みんな違うんでね。早咲きとかありますけど、豪さんのようにラッキーに好きなことを見つけ、目標や夢を持って走っている人もいる。でも何も焦る必要はないと思うんですよ。その人の人生ですから。他が決まったから自分も決めなきゃとか、なにも焦る必要はない、人生違うわけですから。大切なのは、絶えず一所懸命、大したことないと思える仕事でも、そこに心を込めてやっていくことによって、いろんなことが見えて来る。やりたいことが来たらやる、ではダメ。でないと自分の好きなことや夢がぱっと来た時にそれに気がつかない。見える力や先見力をつけるためにも毎日を一所懸命生きる。

私の友達で何十年もホテル経験のある人なんだけど、バンクーバーでは希望したところに入れなくて、とりあえず皿洗いしか仕事がないからやってみろってなって。その人は誰よりも早く来てピカピカにして、皿洗いを毎日一所懸命やってたら、ホテルから Employee of the Yearをもらったんです。何であっても、自分のことだと思ってオーナーシップをもって、皿洗いするのだって心込めて綺麗に磨いて、これが自分の仕事だと一所懸命やれば必ずそこに自分の道が開ける。適当に汗もかかないで、ただ、枕に普通に寝てて上手くいくと思ったら、甘い。いい加減になっている人は、出し惜しみしている。もったいない。周りの目はどっちでもいいから、たまたま今あるその仕事を天職として真剣にやったら、なにか見えてくるんじゃないかな。




“ゴール”というものがあるならば
それは「今を生きる」。
今を生きる繰り返しが、結果を生む。

DSC06191 2.JPG豪 : 僕はとにかく今を生きようと自分の心に決めているんです。大学卒業前の、就職活動中に迷った時期がありまして、その時読んでいたスティーブ・ジョブスの本に彼が福井県にある永平寺に行こうとしていた、と書いてあったんです。僕は、ジョブズの考え方が好きだったので、今考えていてもしょうがない、とりあえずジョブズが見たかったものを見てみようと思い、次の日、永平寺に行ってみたんです。そこで、拝むだけで帰るのも嫌だったので、写経というものをはじめてやってみました。朝早かったので、大きな部屋に僕一人でした。お坊さんに聞いてみたんです。「曹洞宗もあまり知らずに来てしまい写経をしているんですが、今悩んでることがあるんですけど、どうすればいいですか」と。そしたらお坊さんが「私たちは、未来や過去を考えることは無知とされています。だから、私たちはひたすら坐る。それを只管打坐(しかんたざ)と言います。今をひたすら坐る。私たちは禅しか知らないけれど、佐々木さん、とにかく今をまず一生懸命やってみたらどうですか。」と言われたんです。その時の僕は、未来を考えすぎて、どうなりたいとか。その言葉はシンプルかもしれないですが、心に突き刺さりました。そこから僕の考え方が変わって、進み始めたんですね。それから決めたことは「とにかく今を頑張ろう」と。

別所: それは、素晴らしいことだと思う。未来に支配されない。私もこの仕事を始めたのはその時の状況からで、当然何十年後にここまで来るとか誰にもわかんなかった。けども、そこに不安もなかった。まぁ、30ちょっとで若かったので、成功するかとかこれで飯が食えるかとか全然考えなかった。ただ毎日を懸命にやっただけ。時代が良かった、運が良かったとかいうんですけど、でも毎日毎日の積み重ねが信用・信頼を得て、周りの人や僕の知らない人も見ててくれて、お前とだったらやりたいって言ってくれるエージェントがいっぱい出て来て。お金儲けとか名誉とか大きくしたいとか、そこを求めてやってきたわけじゃない。目の前の不安でどうなるかわかんなくても、ただ毎日このお客さんを絶対満足させて帰るぞ、とそれだけに集中していたら、結果が付いてきた。逆に結果のことばかりを考えていると人間どうしても小さくなってしまうものです。自分が過ごしてきた人生を振り返ってみて僕はそれは正しいと思います。けど、それを初めからわかっててきたわけじゃない。今もまだずっと一歩一歩進んでいて、ゴールにも届いていないし、毎日毎日をただ一所懸命やっているだけ。

豪 : 成功がゴールじゃないということですね。

別所: ないです。何を自分なりに考えてゴールというのかね。たとえ何百億作ったからゴールだとか、それじゃあかわいそうですよね。お金作って終わりじゃあ人生それじゃ楽しくない。この仕事のおかげで僕は今の生活をさせてもらったっていう感謝があるので、今度はせっかく私が受けた恩恵を業界や若い人たちに戻していくみたいなね、恩義を返すという感じの気持ちが今強いです。だから、なんとか形を作りたい。インフラを作りたい。魅力のある業界にして、なんか楽しそうだなってもっと入ってくるようにしたいんです。




自分が心を込めてきたものが、相手を良くし、周りを良くし、それが巡って自分に還ってくる。

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豪 : 別所さんは本当に一貫されています。それがご自分だけじゃなくて、旅行業界にむけても貫いている。

別所: でも、それが全て自分に帰ってきているんですね。業界をよくすることが自分に帰ってくる。短絡的にみるとちょっと遠回りしているかもしれないけど、でも、もうちょっと上の大局観でみて、よし!この業界をよくするぞ、と邁進していたら自分もよくなったという感じ。

豪 : 今を生きるを実現されていらっしゃる感じです。目の前で!

別所: そんな、大したことないんだけども。ただ、本当にシンプルなんですよ。そんなに難しいことではないし、謙虚・感謝とか、礼儀とか人間として当たり前のことさえやっていれば気持ちもいろんなことがきちっとしますから。そういうことを心がける。

豪 : 別所さんは曹洞宗のお坊さんでしたか? お坊さんのお話を聞いているかのような気がします。

別所: いやいや() ただ自分が一所懸命生きたことから、たまたまそこにたどり着いているというだけで、そんなおこがましいです。さっき豪さんが言ったように、今目の前のことをやり抜く。それをやってる人ってやっぱりすごいじゃないですか、いろんなことことを研究するし。豪さんの場合、温泉とか旅館。そこを突き進めば見えてくる。




自分は自分でいい。

豪 : 在り方が自然と禅なのですね。僕も海外に温泉旅館を作ると考えて、自分なりにいろんな国や場所を探しました。日本旅館を世界へと考える星野リゾートの星野佳路さんの本もいっぱい読みました。星野さんに勝つような温泉旅館を作らないと、って思い始めたんです。星野さんは彼が大手町に作った温泉旅館をこれから世界に展開していくんだろうなと思うので、だったら僕はこじんまりとした禅を取り入れた旅館を作りたいと思ったんです。カナダに来る前に改めて永平寺に行って座禅修行をしたんです。朝3:30から起きて、座禅を組んで。

別所: それこそ修行だね。

豪 : その時、日本人の性格ができた基盤がこういうところにあるのかなとか、仏教はすごく歴史が古いので色々学ぶことがありました。ご飯を食べる時にも、全く喋ってはいけない。禅堂で格式があるところで食べるので、食べる時も周りを見ながら、一番遅い人と一番早い人の中間のスピードで食べなさい、と言われました。食べ物を大切にしたり、茶碗を洗う時も少しのぬるま湯で全ての茶碗を洗い、それも最後に飲み干したりして。こうやって、日本人という人格ができて来たんだと思いました。それを体験したからこそ、ここで紹介していただいた温泉の研究家の方が禅の考え方が好きで、それいいねって共感してくださったり。僕は考える頭がないので、ひたすらやることが、僕の唯一できることなので、今とにかくやろうと。

別所さんはその「今を頑張る」をずっと続けていられる。別所さんのお話から僕と同じ世代の人たちに、今を頑張るというそれを伝えたいです。


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別所: うちにのスタッフでも、なにか出し惜しみをしているというか、もったいない。もっともっと出せる可能性をもっているのに、良いものを持っているのに、なんでもっと全力を出さないのかって思う。

星野さんはユニークでトップだからね。でも勝つんだ負けだというものより、豪という1つのアイデンティティを持って、私が求めている・私が思うものはこうなんだ、ってオンリーワンで突き進んで僕はいいと思うけどね。僕はモノマネはあまり好きじゃなくて、なんでもいい、ニッチでも、オンリーワンでも、そんな生き方もある。それが採算合うとか合わないとか、余計なことは考えないほうがいい。

豪 : そうですね、思わないようにはしてるんですけど、正直ちょっと考えてしまう。

別所: せっかくいい情熱もってんだから、佐々木豪のオンリーワンで思い描いているのがあるような気がするので、自分が思うホテル・ホスピタリティ・施設・ソフトウェア、それがこれだと信じて通していく。これは絶対受け入れられるんだと言う自信持っていったらいいんじゃないですかね。僕はそれぐらいの強さをもっていてもいいと思います。

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やっぱり苦しいものは苦しいです。僕と同じように会社を経営するやつがいて、そいつは世渡りがうまいタイプなんです。僕はくそまじめで世渡りがそれほどうまくなかったので、人にちやほやしながらうまく繕って行くことはできなかった。出来るやつはパッとうまくいっちゃったんですけど、僕は自分に正直だから時間はかかるかもしれないけどスローでも自分のスタイルを通していこうと、それが自分だし、カンフタブルだからね。でも実はちょっと同じようなことをやってみたわけですよ。商売考えて、ちょっと茶坊主やったりね、俺の会社をよろしく〜なんてね。でも夜帰ってね、なんで俺はバカなことをやってんだろう、チンドン屋みたいな。全然違う。こんなのは俺じゃない。もうやめたと。やっぱ自分は自分でいい。自分のスタイルを認めてくれないなら、認めてもらえなくていい、認めてくれる人を探す。それが1割しかいないかもしれないけど、その人に探し着くまでは頑張りましょう、という気持ちになりましたね。

豪 : そういった気持ちは大切ですよね。今の若い人たちみんな大変だと思うんです。SNSとかFacebookとかでみんながやってるやり方というのがあふれているから、そのやり方でやらなきゃいけないって思ってしまう。別所さんが心の底から感じた違和感。自分のやり方ではない、と言える。

別所: 本当に、自分じゃないと思ったんです。自分にはこのやり方しかできないし、これ以上僕に求めてもしょうがないから突き進もうと。それで受け入れられるか受け入れられないか、どのぐらいかかるかわからない。5年かかるのか10年かかるのか、あるいはまたいつ上手にできるやつが出てくるかわからない。それでもこの生き方で行くしかないと思っていたら、案外早く根付いて信頼を積むことができた。自分の気持ちに正直で、不安な気持ちに振りまわされないで。認められるのに時間かかるかもしれない、でも10人のうち1人に認められればいいぐらいの気持ちでやってていいんじゃないんですか?70億人いて、1/10人の確率だったら、そこに7000万いるから(笑)そのくらいの気持ちで自分に強く自信を持って。佐々木豪は佐々木豪のアイデンティティがあって、なにも捨てる必要はない。他と一緒にする必要もないし。もちろん学びは必要です。そこにプラス自分の持っている主力のものと、ブレンドさせて出す。星野リゾートではなくて、佐々木旅館でいいんじゃないんですかね。それが、認められるように絶えず改善改良を加えて努力していけばいい。僕も商売するためにいろいろ創意工夫をしましたね。なんで、認められないんだろうと。違和感のない程度に変えて行く、それはやりました。

豪 : 別所さんの言われることはシンプルで一貫されている。




過去も変えられない、未来もどうなるかわからない。
今生きていく積み重ねの中に未来ができてくるわけだから。

DSC06171.JPG別所: 僕の周りにもいますけど、あれこれ先を案じて考え過ぎるんです。だから、お前頭が良すぎる、そうなるかわからないんだからとりあえずやってみろよと。わからないことに一所懸命思い巡らせても意味がない。過去も変えられない、未来もどうなるかわからない。今生きていく積み重ねの中に未来ができてくるわけだから。

豪 : 人との出会いにしても、その人に会ったことがラッキーに繋がったんではなく、その時頑張っているからその人が居てくれたりとか、巡り合わせなのもあるのかもしれませんね。

別所:そうです。そうなんです。やっぱりやっていると、いい人がひっついてくるんですよ。僕もそういう出会いの中で助けられた人、いっぱいいるんです。いい巡り合わせが生んでくれたんですね。真面目に絶えず変わらず接しいる私の姿を見て、お前だったらと言ってくれて、うちのツアーを全部任す、って言ってくれたり。見てくれていたっていうのは、ありがたかったですね。

僕の仕事で良かったことは、最初の頃にガイドの仕事ができたこと。ガイドの仕事って昔は、1週間お客さんにくっついて行ったんです。社長とか議員さんとか俳優さんとかいろんな人を相手にして、そういう人と一緒に寝食するわけですよ。僕は仕事と思ってやっていなくって、皆さんの中に入って一緒に遊んじゃうんですね。遊んじゃうって言うのは、つまり楽しくやる。自分が楽しくなきゃお客さんも楽しくないというのが心情だったんで、ガイドの仕事で楽しませるというよりも、自分が楽しむ。そうするとお客さんも楽しむ。で、一体感。そうやって生まれた一体感の中でずっと寝食共にするので、そうすると社長とかいろんな人からいろんな話を聞くわけです。

ある社長のガイドをした時に、どうしてその会社をはじめたのか聞いたんです。するとその社長が「単純な理由だ。うちには何百というい人がいて、ゴミは拾えるだろうから掃除を始めたんだ」と、これが東京美装っていう新宿にある会社で、スキー指導者でありのちに日本オリンピック委員会JOC会長も務めた八木祐四郎さん。彼がスキー部員たちのアルバイトとしてビルの清掃を引き受けたのをきっかけに、今はメンテとか、警備、ビルメンテとか、掃除、何万人をかかえる一番大きい会社になったんですけど、本当に単純な理由で始めてるんですよ。そういう話をいろんな方から聞いてきて、あぁ、お金をもらえて感謝されて、しかもいい話を聞かせてもらえて、こんないい仕事はないって、本当に楽しかった。そういう楽しさを今の新しく旅行業に入った人たちに知ってほしいなと思いますね。この仕事は、いろんな人に会えるし、いろんな経験を聞けて、自分のためにもなる。本当に何が自分のチャンスになるかわからないんで、頭よ過ぎてあまり考え過ぎないで()




不安に感じれるのはラグジュアリー!?

豪 : 僕は小心者なのか、毎日不安なんです。

別所: そうかぁ。不安に感じれるのは、それはラグジュアリーだね。自分に余裕がある。僕の場合はそれしか選択肢がなかったから、うまくいくだとか、不安すらを考える余裕がなかった。毎日ただやるしかなかった。不安になることを考えられているということは、まだ、そこに一点に集中していないのか、なんか迷うものがあるのか。

豪 : 周りの人に言われると、気持ちが下がる時もあります。


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別所: 外野は良かれと思っていろんなアドバイスを頂戴するんでしょうけど、またそれが気になっちゃうこともあるわけですからね。逆にそれを言うことが良いことなのか、それが本当の友達なのかどうか。僕は自分が底になった時にかみさんに会ったんです。よく自分を信用して、ここまでついてきたって思うよね。夫婦とか友達とか、本当に一番近いパートナーというのは大事ですね。精神面とか、全てにおいて、なんかのために頑張れるというか。僕だったらやっぱりかみさんがパートナー。そういう関係っていうのは、違う力を生む。




裏切れない人の、声。

別所: 人ってどうしても違う人を選ぶんですね。僕にないものを選ぶ。うちのかみさんは、いい意味で牽制しているという感じなんです。僕のダメなことをバシッと言ってくれる。なかなか言ってくれないでしょ、ほかの人は。良いことだけを言ってくれる人より、悪いことも、本音を言ってくれる人を大事にした方がいい。友達として、なかなかそういうことをね、あえて、みんな嫌われたくないし、傷つけたくないと思うから、やっぱり良いこと言っちゃうんだよね。でも、良いことだけってあんまり、為にならない。本当に真剣にその人を良いと思ってくれてる人は、言ってくれるんですよね。だってもっと良くなって欲しいんだから。ありがたい。うちのかみさんも、それに僕が答えるからこそ信頼してくれるわけですよ。たとえば根拠もなにもないところで、俺がこんなことしたいって言ったら、「いいんじゃない」って感じで。「いいんじゃない」って簡単に言ってるんだけど本意は「私はあなたと一緒に苦労しますよ、どんなところでも付いて行きますよ」って言ってくれているようなもんでしょ。それは裏切れないですよね。そこから来るモチベーションはすごいですね。

豪 :「苦しい」を共にした人との強さですね。

別所: 僕らはなんにもないとこにいたから余裕がなかった。人間って追い込まないとダメだって言うのもあるんです。前へ進まないことには、黙ってたら落っこっちゃうんだから、死ぬわけですから。そう言う状態だったんですね。まったくゼロのゼロ。何にもない。お金も名誉もなかった。そんなの普通だったら結婚したいと思わないですよね。めんどくさいだろうし。だけどそんな僕に付いてきてくれて、なにもないところから、いやマイナスから始めましたね。ここまでこれたのはやっぱり半分以上かみさんのおかげですね。そう思っています。それが頑張れる自分のチカラ、モチベーションになってるんですかね。この人は裏切れない、絶対に幸せにさせるって。

豪 : そう言うことを言える夫婦というのは本当に幸せですね。

別所: こんなこといつもは言ってないから!(笑)本当は言わなきゃいけないのかもしれないけど。

豪 : その絶壁に立ってこそ手に入れられるものがあるんですね。

別所: 不退転の勢い。豪さんはまだ後ろに逃げられるところがありすぎるんじゃないんですかねぇ、もしかしたら。

試練っていうのはありますよ。ここは絶対やんなきゃ!寝ないで頑張るって時が。試練を自分に対する挑戦、神様の愛情だって「こんなもんでへこたれるお前じゃないだろ」と思っていれば、案外、苦労も楽しく。よし、やってやろうかとなる。我々の業界は厳しいんですよ。だけど、それだから楽しいんですよ。うまく綺麗な条件の中では誰でもできるんだから。今だから真価が出る。今だから本当の経験値が出てくる。だから、面白いんですよ。だから、本当にピンチはチャンス。僕は、フィジカルはダメですけど、心の青春というか、気持ちは燃えていますよ。


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ゴールに、理念。
原動力は、「これが好き」という純粋な感覚の奥にある情熱や使命感。
答えは、自分。自分がどうしたいか。

豪 : 別所さんの言われていることは、今を生きろ、と。今与えられていることを一所懸命やれ、と。誰だってこの言葉を聞いてその通りだと納得すると思うんです。でも、そこからやるか・やらないか、が違いですね。

別所: 毎日を一所懸命生きる。これにプラスして、情熱とか、なんかやってやるんだ!変えてやるんだぞ!という熱い気持ちも持って欲しいね。むやみやたらにただ時間長くやってればいいっていうのではなくて、もちろんみんな頑張ってるんだから、そこに意気込み、気持ち・心が入っていかないとものにならない。そこで差が出てきちゃうってことですよね。

豪 : その仕事のモチベーションの維持はどのようにされているんですか?

別所: 好きだからですね。自分のやっていることに使命感を持ってやっているということ。たとえば僕は、旅行の意義というのを考えていて、旅行というものには社会的貢献があると思うんです。皆さんリタイヤした後に何がしたいですか?って聞くと旅行が上がってきますよね。日本では僕はベビーブーマーなんだけど、戦後の70歳ぐらいまでの人は、本当に凌ぎを削って働いて頑張って努力したから、これだけの日本になったと思うんですね。だからそういう人たちに良く頑張っただから旅行でもして非日常を楽しんで、という感謝を提供したい、っていう一心の強い気持ちが僕を掻き立てているんじゃないですかねぇ。

もちろん、人が好き、旅行が好きなんですよ。豪さんが旅館・温泉が好きなのと一緒で、その熱さっていうのは、これは永遠のものじゃないですかね。お客さんを満足させたい思いに100って上限はないですから。それは永遠ですよね。僕はゴールに理念を持ってきたところが良かったなと思います、お金とか名誉とかそういうことをゴールにじゃなくて。わかんないことを追いかけいる子犬みたいなもの。だから、情熱が続いてるんじゃないですかね。

豪 : 今日は人として大切なメッセージを頂きました。本当に熱くなります。あるべきことを気づかさせていただく。本当に禅の師匠の様な。

別所: カナダに来られる方みんな、いろんな希望とか何かを変えようとか、個性を持って来られているわけですから、それをなんとか全うしてもらいたいですね。日本人としての誇りを持ってね。日本人はもともと勤勉とか、真面目とか、良いものいっぱい持っていると思うから、それこそがこの街の中で生きてくるし、本人の心の持ち方やモチベーションで必ずうまくいくと思っています。この前もね、ばんてら(企友会の学び合い塾)に参加した時に、自分が見つけたいものの答えは、周りの要素っていうのもあるんだけど、本質は自分ですよね、という話をしたんです。自分はどうしたいのか、ってこと。それを本当に真剣に考えれば、答えが出ると思いますね。

みんな伸びしろを持っていると思うんです。自分で知らないだけで、気がつかないだけで、だからそれに気がつけば、本当に馬のように走れる。走ろうか、歩こうか、早足でいこうか、まだ迷っている人は、今から全力で走ったらいい。本当にみなさんに活躍してもらいたいと思います。豪さんはもう走ってますね、素晴らしいですよ。

豪 : ありがとうございます。スパンが長いプロジェクトですけど、頑張ります。

別所: それもそうだし、これもせっかくの縁ですから!

豪 : ありがとうございました。




その人それぞれにあるであろう、今日の一所懸命。よい明日を迎えるために、朝のコーヒーを淹れる時、窓の外の景色を眺める時、電車や車の中、ごくごく普通の日常の中でもう一度自分のそれを思い出す、そんな自分の姿と心に立ち還るインタビューとなりました。




PROFILE   佐々木 豪
1990年愛知県生まれ。大学卒業後、大手英会話会社に就職。その後、専門商社へ転職、リニア中央新幹線に付随する工事の営業、現場、人事、財務テクノロジーなど様々な部署で経験を積む。海外の方に日本の文化を知ってもらいたい。という気持ちで岐阜県の温泉地にて温泉個室の運営を開始。常に予約がいっぱいのスポットとなる。その後、海外にいる人へ日本の文化を知ってもらいたい。という長年思い続けて来た夢を追い、カナダ・バンクーバーへ渡加。現在は、ダウンタウンにあるホテルで働きながら、温泉開発者らと共に温泉調査をしている。北米初の日本式温泉旅館建設に向け励んでいる。

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 インタビュアーからの一言。

今回別所さんとお話ができて感無量です。「毎日を一所懸命」「一生学び」「心で喋る」「心で聴く」「今を生きる」若造な私が言えることではありませんが、これらの本当の意味を知るまでに途方もない努力と鍛錬があるのだと感じます。今を生きることはシンプルに聞こえますが、いざやってみようと思うと難しいです。それを続けている方に出会えて自分は本当に幸運なのかもしれません。とにかく自分もひたすら一生懸命生きようと思います。今回の出会い、そしてそれをサポートしてくださった全ての方々に心より感謝いたします。
















posted by k-interview at 18:58| インタビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月22日

ビル 別所(Bill Bessho) 特別企画ロングインタビュー前編


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特別企画ロングインタビュー前編は、ビル別所さんを形作る礎、そして彼が全力で守り続けているものへと迫ってみます。


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ライブ演奏と人々の楽しげな話し声が響く、モダンで華やかなホテルのロビー。ガラス張りの落ち着いたラウンジの一角で別所さんをお迎えして一息入れた瞬間、蛙が飛び込む音が聞こえてくるような不思議な静寂を味わいながら、今回のインタビューは始まりました。、


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一所懸命。  

もともとは、武士が先祖から受け継いだ土地を次の世代へ引き継ぐために、命をかけて守ったことに由来。今目の前に与えられた1つのことに全力で打ち込むこと。




毎日一所懸命、ということが答えを生んでいく。

別所: 豪さんは企友会のボランティをしているんだね。僕も今でこそいろんな関係でボランティアをやってますが、なかなか若い頃からそこに目を向ける気持ちというか、余裕といいますか、どうしても目先の私利私欲に追われてしまったり忙しさで、時間があったら自分の時間に使う、みたいな。僕が豪さんの歳の時は全くそういうことをやってなかったですね。まぁ、あの頃は自分の会社を運営するのに精一杯だったということもあり。

豪 : 僕はボランティアでお声かけいただいて、ただそれを一所懸命やっているだけなんです。

別所: 僕が思うのは、今おっしゃった「一所懸命」という言葉に尽きるのではないかと思います。一所懸命やることが何なんだ、とかその場しのぎな考え方をして生きてしまうけど、毎日一所懸命、ということが答えを生んでいくと思うんです。

僕の好きな言葉に、


真剣だと知恵が出る、中途半端だと愚痴が出る。、いい加減だと言い訳ばかり。



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豪 : 別所さんは1981年に会社を起こされた時、カナダに来て、旅行会社の経験を積まれたとお伺いしたのですが?

別所: 私は最初日本でコンピューター業界にいて、ビザもその時取ることができました。バンクーバーへ来た後も、イギリス系のコンピューターの会社でシステムエンジニアの分野で働いていました。若いからできたんですけど、その会社のドアをノックして「私は日本で同じような会社で勤めていた。雇ってくれないか」と言って入社させてもらったんです。あの時よく英語が喋れない私を雇ってくれたな、と思いますよ。私は小学生の頃に母親に英語を教えてもらい、英語が得意な顔をしていたんですけど、うさぎと亀のようなもので、受験英語はできなかったし、まぁある程度は喋れたんでしょうけど、バンクーバーへ来たら全然ダメだった。2年ちょっとその会社で働いて、その頃の日本人は、Workholic、働きすぎな傾向があって、会社の中でも空回りし周りからも「働きすぎだろ」と言われていました。やりすぎのところもありましたね。そうすると周りの人が働いていないように見えてしまって。

そのうち、この仕事は自分には向かないのではないかな、と思い始めていました。そんな時たまたま旅行会社の広告が目に入って、そこに日本語学力が条件で書いてあったんです。それで行ってみると、そこはカナダで最初の頃の日本人観光客へのインバウンド事業のパイオニア的な会社だったんです。JTBなどの大手の会社がまだカナダに進出していない頃にこの会社は日本人客を一手に受け持っていたんです。旅行会社に勤めたことはなかったんですが、やってみようと思い、すぐに面接に行きました。もちろん当時は旅行の仕事が天職だとか全く思ってなかったですし、ここまで長く続くと想像していなかったです。その会社では、ガイドや手配の仕事、予約・仕入れなどいろいろなことをやらせてもらいました。ある程度勉強して、約2年ほどホテルとの交渉をしたり仕入れのマネージメントを任されていました。でも会社のオーナーとの考え方や経営理念が合わなかったんです。多角経営をしたかったんだと思うんですが、貿易の会社を作ったり、アウトバウンドをやったり、他の投資など色んなことをやってました。当時我々の旅行会社が、主な日本人観光客に対してサービスを行なっていて、非常に利益幅もあり利益率も取れてて、マネーメイキングの部門でした。いろんなことをやるのはいいことなんですけど、しっかりと根が降りる前にあれこれやってしまって、頑張っている旅行会社のお金が他に流れて、自分達には還元されない。私には耐えられませんでした。





周りの飾られているところを全部取って、
本当にこの人と信頼して仕事ができるのか。
本当に心中できるのか。

豪 : 別所さんは以前航空会社を作ろうとしていたと聞いたのですが。

別所: 航空会社を作ろうと言うか、関西へ飛行機を飛ばしたかったんです。今は成田・羽田からバンクーバーへ飛行機が飛んでいますけど、僕らの頃は、大阪・名古屋便もあって、そこへセールスを置いてやっていたんです。けど、AirCanadaの経営方針で名古屋便と大阪便をやめて、東京1本にしたんです。でも僕は東京だけがマーケットではないと思っていたのです。一社のみの運行であるとどうしてもその会社の都合に左右されてしまうので、それに対して僕は夏だけのシーズナルでもいいから関西の方にチャーター便を飛ばそうと思ったんです。それでこの業界のプロフェッショナルな経験者数人で一緒に組み、僕らでやろう、と声をあげたんです。

まず資金は数十億ぐらい必要で、各々ができる分野で動き始めました。それからモントリオールにあるチャーター会社のAirTransitと機材を共有して大阪へ週何便飛ばしましょうと言うところまで話が進み、飛行機に対して数億のお金を入れて、前金みたいなものですね。そうしないとAirTransitだって本気で動いてくれないので。日本のセールス事務所にも「よし!やるぞ」とセールスに力をいれてましたし、それを華々しくバンクーバーのみんなにも言ってしまって。それがですね、実際には必要資金は10分の1しか集まっていないと言うことがわかりました。どうも投資などの資金集めの方がうまくいかなかったんですね。投資家たちと話すのも、信頼が一番重要ですから、残念なことにその人は信頼をつくることができなかったのかもしれません。

やはり結局は、人ですからね。一緒にやる人に信用を置けないようでは今後うまくいかないです、たとえそれが社会的にどんな地位がある人でも。最終的に私は結構な額をすでに払ってしまいました。それでも「これでは僕は勝算が見えないし、もうこれ以上はできない、私は降ろさせてもらう」と言ったんです。その後もいろいろありましたが、それでも降りました。その時は考えましたね。本当にやろうかやらないでおこうか。やってたら、今の会社もすっ飛んでいたかもしれないですね。

豪 : すごい経験ですね。

別所: 人ですよね。やっぱり人を選ばないと自分をオープンにして、気持ち・信頼・考え方も全てそうなんですけど、その辺が合わなかったらもう早くやめたほうがいいですね。そこの大事な部分を共有していないと、やることもうまくいかないと思います。

豪 : 別所さんは今のご経験のように、人の合う合わないというのはどういうところで判断されるんですか?

別所: 話しをしてたり、受け答えとか一つ一つの言動でわかりますね。あ、この人は信用できるな、信用できないな。この人はいろいろ被っていて表を出してないな、とか。僕はガイドしてたんで、何千何百の人と会っていろんな人をみてきたので瞬時にだいたいわかりますね。投資の場合もその人のアイディアは良かったし、カナダ観光局からの紹介だったんです。つまり国交相、国からの紹介みたいなものですからね、すごく安心してたんですよ。普通信じますよね、でもそれが間違ってましたね。最終的には自分の目で判断したほうがいいですね。周りの飾られているところを全部取ってみて、本当にこの人と信頼して仕事ができるのか。本当に心中できるのか、ぐらいの気持ちがないとだめでしょうね。実際、話をしていると違和感とかあるんですよ。あるいは言ったことの約束を果たせない、簡単なことなんですよね、人間って。簡単なことなんですけど、礼儀とか、学びとか、謙虚さとか、そういうものができない。仕事ができる・できないというのはあんまり見ていない。やっぱり人なんです、人格なんですよね。他のことって案外ついてくるじゃないですか。





大切にしていること「心から喋り、心から聴く」。

豪 : 譲れないもの。人との関係の中で、最も大事なひとつをあげるとしたらなんですか?

別所: 僕は自分が行なったり・言ったりすることに、心から喋り・心で聴くというのを大事にしているんです。僕自身は一つ一つを真剣にしているつもりんなんですけど、お互いそうできる人が僕にとって一番コンフォタブルです。どうしても人間って目先にうまく乗ってやろうとか使ってやろうとか、いろんな人がいますから。


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豪 : 航空会社の設立は、日本からのお客様を根本的に増やすことを目的にされたのですか?

別所: 増やすのもそうですけど、AirCanadaへなんというか、潜在需要と市場に気が付いてもらいたいと。彼らがある程度独占している中で、マーケットを少し無視したように効率、利益重視、あるいはコスパでやってしまう。実際マーケットは欲していたのに、飛んでいた飛行機を他に回すために取っちゃったわけですからね、会社の都合だけでね。それは良くない。エージェントだって一所懸命売ろうと思って登っていたハシゴを外された感じですからね。それは僕にはちょっと許せなかったですね。あまりにも大企業的な考え方で、もうちょっとお客さんのマーケット目線の形でやってほしかったので、何か彼らにやりたかったんですね。マーケットはこれだけあるんだぞ、と。そうか民間でもこれだけやるのか、とね。

豪 : ちなみにそれは何年前のことですか?

別所:2007年になりますかね。





中小が元気になれば、全体が底上げできる。

DSC06149.JPG豪 : 今後は何かされようと考えていらっしゃるんですか?

別所: モントリオール便が201862日から就航します。カナダと旅行業界にとって一つの良い転機かなと思っています。モントリオールというのは、またちょっと違うカルチャーを持ってますよね。いままでと違うゲートシティが増える。それが、日本市場を活性化させる一つの起爆剤になってくれればいいなと思っている。だからモントリオール便が飛ぶと聞いた時から、モントリオールに事務所を作ろうと思って今動いています。事務所を開くことによってそれが鶏と卵になるかもしれないけど、話題性も作れるし、ケベック・モントリオールのホテルやいろんなサプライヤーから見ても、こいつ真剣なんだなって、僕らの覚悟やコミットメントも見せられる。

ご存知の通り、僕らも中小なんですね。JTBとか日本の大手のエージェントさんもカナダに出ている。だけどどこの業界もそうですが、中小が約90%なんですよ。中小企業でもっているわけなんです。日本にも1万社ぐらいの旅行会社があるんですけど、そのうち中小はだいたい90%ぐらい。だから中小に元気になってもらう。サプライヤーから中小に売ってもらえるような環境やインフラ作りをまずしないと、全体の底上げはできないと僕は思っているんです。中小は大手と違って資金力とか人間とか大変です。5人とか20人でやっているところですからね。それでも売るからには、カスタムなサービスとか、12人でもお客さんの受け皿となるインフラを作れるように。だから僕らも先行投資していく。売ってくださいと頼んでおきながら「うちは事務所はないので、委託してやりますから。」じゃあ向こうも納得しないんじゃないかなと。

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豪 : 言葉の重みがないってことですね。

別所: やってくれっていう割には、お前覚悟がないなって思われる。だからうちもこれだけやります、汗かきます、リスク背負いますから売ってくださいと、そういうアプローチです。それもありますし、いろんな効果を自分なりには期待していますけどね。

豪 : 僕も過去に色々旅行に行きましたが、その時はネットで直接予約したりしてました。今はAirbnbというのも出てきて、旅行業界って大きく変わってきているように感じます。実際、僕が使うのは、ネットで予約したり、比較サイトなどで情報を得たりします。旅行業界の将来像はどのようにお考えになっていますか。

別所: 第4次革命、全く我々の業界も他の業界のようにAI(人工知能)やIot(インターネット・オブ・シングス)とか競争相手はIT関係になってきています。Microsoft, Expedia, Googleもはじめるでしょうから。昔のトラディショナルなエージェント経由ではなくて、ホテルやエアラインも直接・個人ブッキングするオンラインエージェントとか。僕の百社くらいあるエージェントの中でも10社ぐらいありますね。インターネットで全てを予約するダイナミックパッケージというんですが、毎週何十とブッキングが入って来ます。それでもエアーとホテルだけのパーツが揃えばお客様は満足かというと、そうでもないですよね。ホテルはAirbnb、移動もUberで行けるかもしれないけど、それ以外に僕らが提供できるものはまだあると思うんですね。たとえば「エアーもホテルも買いました。でも、朝の早朝ツアーに行きたいので、オプションはそちらで買います。」など、我々だからできるクリエイティブなツアー。今は歩くツアーとか食べ物のツアーとかが増えてきてて、お客さん自身も一般的な観光よりもちょっと現地の人たちが楽しんでいるものを垣間見たいというのがあるから、出す方法はいくらでもあると思うんだよね。そういうところに生きる道を探さないと。





今の形のままでの延長では未来はない。
チーム力とか組織力に変えていかないと。

別所: 僕は、36年間旅行業会の成長時代を来ているのでラッキーでした。でも今は2030代の世代の彼らにもっと知恵を出してもらいたいと思ってます。今の新しいやり方・考え方に変えなければ、難しいだろうね。私が今までやって来たやり方の成功例というのは意味のなさないものですから、今の形のままでの延長では未来はないと。それは口すっぱく言っています。会社や社員のあり方も、昔はカリスマ的なものとか、1人のリーダーシップでぐっと引っ張っていくというやり方で来れましたけど、そうはいかないと思うんですね。やっぱり、みんなの個性でみんなが一所懸命、11人が汗かいて知恵を絞りながら一緒にやっていくという形、チーム力とか組織力に変えていかないと難しいんじゃないですかね。

豪 : この業界を牽引しながらリーダーとして、次の世代、新しい社員への思いや、心がけていることはありますか?

別所: 答えを持っているわけではないけど、わからない中で一所懸命毎日模索している。僕なんか、始めたときから毎日絶えず危機感とか感じていて、36年間犬かきをずっとやっているようなもので、この犬かきを止めたらもう沈んで溺れてしまう。絶えず息をするためにずっと頑張ってきたような気がするんです。今問題なのは、業界に魅力がない。旅行業界に入ってこようとする新しい世代の方がなかなか少ない。1つに季節的な稼働という問題があります。5月から10月は繁忙期で良いシーズンなんですけど、残りの11月から4月はほとんど動きがない。くまさんみたいなもんですよね。夏の競争がすごくて余裕がなくなると、冬をどうやって過ごせばい良いのか。たとえ良いガイドが入ってきても、安定したハウスキーパーの仕事に持って行かれてしまうわけです。我々が抱えているこの問題は結構シリアスで、ガイドに成る人がいない。今いるガイドさんもエイジングでいなくなっちゃう。ガイド不足と高齢化。

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「お客様に感激や感動を与えたい」の使命を受け継ぐ
いろんなバックグラウンドや個性の若い人たちが、
次の時代の業界をつくる。

別所: 僕は無理してでも先行投資して人を雇っているんです。いろんなバックグラウンドや個性の人を入れることによっていろんな考え方をどんどん聞いていく。なんか、糸口をと。僕らにはないオープンマインドな新しい考え方を聞きたいんです。業界が長い人は仕事はできていいんですけど、頭が硬い。私含めて非常に固定概念が強すぎて、いいものを見ても「あぁ売れません」って勝手に言っちゃう。頭が凝り固まっているわけですよ。なんでそんなことわかるんだ、やってもいないのにわかるわけないだろ、と思うんだけれどもそう言ってしまう。だから、もっともっと頭のやわらかくて、いろんな業界からの人が来るのがいい。だっていろんなお客様が来るわけですからね。僕らだけのマインドでやっていてはダメだと思う。旅行のもつ魅力から有能な若い人たちに入ってきてほしい。

豪 : 別所さんのように、リーダーの方が仕組みであるとかよりも、とんでもないアイディアかもしれないものを受け入れようとする、その柔軟さを頭から心からもっていらっしゃること。それはものすごい勇気だと思いますし、新しいことだなと思います。

別所: いえいえ。そういっても年取ると感受性は弱くなって来ます。最初にロッキーを見たときにあんなに思っていた感情が何回も見てしまうとだんだん薄れてきてしまう。でも、初めて来たお客さんはその感動があるわけですよね。そのWowという感動を持たなきゃいけない。「お客様に感激や感動を与えたい」それがぼくらのひとつの使命なので。それを与えるには、同じ業界だけでずっと来た人にはなかなか見えないものがある、と思うんです。そこを耳をダンボにし、若い人からどんどん吸収できるようにあたまも揉みほぐして、そうして行かないと今の時代は動けないというか、生きていけないんではないかなと思いますね。


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「一生学び」

世代や立場などの既成概念の垣根を超えた学びから
できること。

豪 : 若い人たちがこんな風に必要とされているのはすごく勇気をもらえます。でも現実には、ゆとり世代だとか言われたり、自分が責任を背負わなくても生きて来れていたり、なので発言が軽はずみなところがあったり、覚悟が小さかったりする人もいると思います。そんな中、別所さんはなぜ、若い方に耳を傾けようと思っているのですか。

別所: もちろん若い人と比べると、人生経験とか仕事経験とかで当然僕らは優位に立っている部分はありますけど、やっぱり僕は一生学びだと思っているんですね。謙虚さというものは忘れないし、老若男女だからっていう差別は絶対にしたことないし、何か学べるんだと。豪さんと話している中でも違う考え方など何かある、それをオープンに言える。必ずそこにはなんか光があると思うんです。その人に対しての遵守、リスペクトを絶えず持って聞く。人生っていうのは何が起きても必ずそこには理由があるわけですから。一期一会のある中で、突拍子のないことを言う人もいるでしょうね。でもクレイジーな意見に対して怒るんじゃなくて、言った背景とか理由とか、なんでそんなこと言うんだろう、なんでそういう風に思ったの?とか、学ぶところはいっぱいあると思います。One Wayで潰すのではなく、言ってくれるひとつの勇気とか、そういうことの方が僕はちょっとカウントしたいんですね。それに僕らの持っている経験とかの引き出しから違うものを融合させて、なんかできる可能性もあるじゃないですか。まったく無駄なものっていうものはないと思う。すべてのものに理由・意味があると思う。僕はそういう気持ちで聞くので、全てが僕にとって新鮮ですね。




後編をお楽しみに。






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2017年08月09日

澤田泰代(さわだ やすよ)

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2017年01月25日

ロビー 福島 (Robbie Fukushima)

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